Sonata No.2

COMPOSITION DATA

TitleSonata No.2
Japanese Title ピアノソナタ第2番
Composer Karel Husa
Arranger
sax
tuba
perc
pf 1
electronics
others
Publisher
Year of composition 1975
Duration 24 min.
Detail of percussion

PERFORMANCE DATA

Performers
Aki Kuroda (pf)
Date 18/12/2019
Venue Yamaha Ginza Studio (Tokyo)

PROGRAM NOTE

カレル・フサ(1921~2016)は、プラハに生まれ、同地の音楽院を卒業後、エコールノルマル音楽院とパリ国立高等音楽院でアルチュール・オネゲル、ナディア・ブーランジェに作曲を、またジャン・フルネ、ウジェーヌ・ビゴ、アンドレ・クリュイタンスに指揮を学びました。1954年にコーネル大学教授として渡米し、1959年に市民権を獲得して以来、アメリカを拠点に作曲家/指揮者として晩年まで活躍を続け、多くの作品を遺しましたが、何と言っても、吹奏楽史上屈指の名曲《プラハのための音楽1968》や《この地球を神と崇める》の作曲家として高名です。その破壊的な音響と人類に対する警告にも似たメッセージ性に震撼した聴き手も多いでしょう。
《ピアノソナタ第2番》は、アメリカのピアニスト、アンドレ=ミシェル・シューブの依頼で書かれ、1975年10月4日にワシントンD.C.のJ.F.ケネディ・センターでシューブによって初演されました。1949年作曲の《ピアノソナタ第1番》がヴィルトゥオジティの中にも抒情性を湛え、ブラームスやショパンへの眼差しを持った音楽であったのに対し、《第2番》は20世紀の前衛的なピアノソナタの系譜に連なる曲と言えます。フサはこんなことを語っています。
 「ブーレーズが何かを“ソナタ”と呼ぶ時、それは主にテーマの対比を示すためだけのことで、結局は(古典的な形式とは)完全に異なったものとなる。私もどちらかと言えばそのような意味でソナタという言葉を使おうと思う。私の《第2ソナタ》はほとんど、コントラストがあるというソナタの古典的認識に基づいて作られている。それが私の尊重するほぼすべてで、いくぶん速く音の多い楽章で始めたとすると、第2楽章は対照的に、第3楽章はさらに第2楽章と対照的になる。結局、それは速い-遅い-速いという意味でソナタのように見えるというだけのことで、私は作曲する時、形式についてよりも、アイデアの発展のほうに気を配る。」
低音のうめき、高音の叫び、急速な反復音型、装飾音、クラスターなどが自由な記譜法で駆使され、ソステヌートペダルや内部奏法の多用により生み出される不穏で緊張感に満ちた音響は、前述の吹奏楽曲を知るリスナーには“フサらしい”と感じられるのではないでしょうか。ブーレーズやバラケほど超メジャー、超ハードではありませんが、フサ自身『より個人的で、より独創的で、私のピアノ曲の中で最も好きな作品』と述べた自信作を、名手黒田亜樹さんのライヴ演奏で聴くことで、フサの創作世界の一端を知っていただけたらうれしく思います。
(国塩哲紀 2019年12月18日公演配布プログラムより)  
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